BAD & BAD【Ⅱ】
私よりはるかに慌てている剛の横で、手で口を覆う。
やだ、やだ、やだ。
翻弄されたくない。思い出したくない。惑わされたくない。
頑張れ、私。耐えろ……!
「だいじょ……ばねぇよな!?こういう時って……」
「……っ、はあ、ギリセーフ」
寸前で踏ん張れた。
嘔吐までいかなくてよかった。
安堵して、肩を下ろす。
「なんとか除霊できたよ!」
「は?」
まだ心配そうにしている剛を安心させようと、陽気に言った。
日光が、私の冷え切った肌に熱を送る。
「肩に霊でも乗っけてたわけ?」
「まあ、そんなもん」
「まじで!?」
悪霊退散してやっつけてやったよ。
かっこいいでしょ?私。