BAD & BAD【Ⅱ】
すると、屋上の扉が開いた。
やって来たのは、たかやんだ。弘也との最終確認を終えて、こっちに来たんだ。
給水塔にいる私達が手を振ると、気づいてゆるく手を挙げてくれた。
「たかやん、ファイトー」
「お前、絶対面白がってんだろ」
「えー?そんなことないよー?」
「棒読みじゃねぇか」
ニヤニヤ口元を緩めていたら、たかやんがムッと唇を尖らせた。
瞬間、ギィ、と擦れた音が響いた。
私と剛は、反射的に顔を伏せる。
「ひろちゃん」
吹き込んだ風が、美しいソプラノをすくい取る。
トン、と軽快に屋上に踏み入れた唄子ちゃんは、いつもより嬉々としていた。
「待った?」
「ううん、僕も今来たとこ~」
少女漫画のデートシーンでよくあるやつだ!