BAD & BAD【Ⅱ】




カップルっぽい!いいな!私も言ってみたい!

乙女心がドキドキ疼く。



「あたしに、何か用?」



唄子ちゃんは自分の容姿を最大限にフル活用しようと、つぶらな瞳を潤ませて、上目遣いした。


私がキュンッとしちゃったよ。可愛すぎやしないか?



でも、たかやんは“弘也”の表情を保ちながら、裏で顔をしかめてそうだな……。


あの可愛さが理解できないなんて、もったいないな。



「僕、やっと気づいたんだよ」




恋愛ぶち壊し大作戦の最終段階は、とうに始まっている。



扉の方に目を向けると、扉の隙間から弘也が傍観していた。


傍から見たら、完全にストーカーだ。よかったね、唄子ちゃんが今たかやんに夢中になってて。




「気づいたって、何に?」



小さな顔をこてん、と傾げる。


わかってるくせに。



些細な場面でも、女子力溢れるテクニックを披露しちゃうところが、桃太郎にそっくりだ。桃太郎は無自覚だけど。あー、羨ましい。私にも女子力をくれ。



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