BAD & BAD【Ⅱ】
「宇宙1可愛い乙女を、男の娘だって?てめぇ、殴られてぇのか?あ?」
「男の娘は冗談でも、それのどこが乙女なんだよ。俺は認めねぇぞ」
どこがって……全てが乙女でしょ?
雰囲気から、キラキラオーラが滲み出てるのがわからないの?
「そんなことより」
「そんなこと!?」
私が乙女だという話題を、そんなこと呼ばわり!?
ひどっ!!
私の機嫌メーターは、朔の無神経な一言のせいでダダ下がりだ。
「事件のことは、時々思い出したりすんのか?」
「いんや、全く」
ふんっと意地悪く鼻を鳴らせながら、「そっか」と目を伏せて安堵した朔の姿を、横目に盗み見る。
心配してくれたのかな。
ああ見えて、朔は面倒みいいからな。
……そんなこと呼ばわりしたことは、許してやるか。私って寛大だな。
「今では、ぜーんぜん思い出さなくなった。束縛は今も嫌いだけどさ」
「お前って、ほんと強いよな」
「朔よりはね」
言い返したくてもできない朔は、代わりに大きく口を曲げた。