BAD & BAD【Ⅱ】
「……兄弟って、女の趣味も似ちまうんだな」
「え?何か言った?」
「兄貴は女の趣味が悪ぃなっつったんだよ!!」
「は!?」
なんで逆ギレしながら言ったの。
趣味悪くないでしょ?むしろ、いいでしょ?
あんた、さっきから私を怒らせて、そんなに殴られたいの?
実はMなの?
「ふーんだっ。あんたと違って、私の良さをわかってくれてる人がいるからいいもーん」
「かわいこぶんな、気色悪ぃ」
「気色悪いとはなんだ!!」
人がせっかく可愛さをアピールしてたのに、失礼な奴だな。
ちょっとぶりっ子しただけじゃん。
そんなんじゃモテないぞ?
……って、そうだ。こいつの性格がどんなに最悪だろうと、外見はいいからモテるんだった。ちくしょう。
朔がいつか落とし穴にはまって、穴の底にうじゃうじゃいる蛇に襲われかけないかなぁ。
「そういえば、凛と付き合ってるんだっけか?」
「あれ、知ってたの?」
「これでも一応、黒龍【コクリュウ】の総長だからな。嫌でもいろんな情報が集まってくんだよ」
「ふーん」