BAD & BAD【Ⅱ】
自分も誰かと入れ替わってみたいとか言い出さないでくださいね?師匠には少し早いです。無謀です。挑戦するなら100年後にしてください。
「罰ゲームか何かですか?」
「そんなとこだ」
いじっていたスマホをポケットにしまいながら質問した真修に、たかやんが曖昧に返事した。
真修達は唄子ちゃんの存在を知らないから、作戦の概要を教えてもわけわかんないよね。
「俺もちっとも気づけなかった」
「僕ら、演技うまいでしょ?大根役者の桃太郎クン」
「くっそ悔しい!」
演技力について桃太郎が言い返せないことを知ってて、わざとからかったな。
弘也め、なかなかやりおる。
私もからかえばよかった。タイミング失っちゃったよ。
「そういえば、他の下っ端達は?」
ホールのどこにも、下っ端達の気配がない。遊戯室も静かだし。どこにいるんだろう。
キョロキョロ見渡す私に、真修が答える。
「裏手でバイクの手入れしてるよ」
「ふーん。皆はやらなくていいの?」
「俺達は昨日やったから」