BAD & BAD【Ⅱ】
不良どころか犯罪者がいそうだから、パトロールするにはもってこいだけどさ、いい加減気分で道を決めるのやめない?
相変わらず、雑だなおい。
そういえば、この近くに黒龍のたまり場がある、っていう噂を耳にしたことがある。どこら辺なんだろう。パトロールが終わったら遊びに行ってみたいな。
「幸珀、早く早く」
「そんな急がなくても……」
いつの間にか、真修が路地の奥の方まで行っていた。
歩くの速いよ。
やれやれと困ったように微笑みながら、真修を追いかけた。
細い路地に、夕日の色がうっすら差し込む。
伸びた影が、路地の薄暗さに溶けていった。
空には星が飾られていて、夜の訪れを示唆している。
真修と和気あいあいと喋りながら、路地裏に一歩踏み入れた。
直後、誰かに後ろから抱きしめられた。
誰……!?
反射的に、私を抱きしめた誰かを背負投げしようとしたら、鮮やかに避けられた。
誰かはクッと喉を鳴らしながら、私から離れた。
……やっぱり、あんたか。
「幸珀、久し振り」
私の名前を愛おしそうに口にしたのは、一生会いたくなかった、善兄だ。