BAD & BAD【Ⅱ】
善兄は真修にも軽く挨拶をした。
真修をついでのように扱わないでくれる!?
私は惜しみなくため息をついて、再び歩き出す。
「真修、行こ。こいつなんか相手にするだけ時間の無駄だよ」
しかし、すぐにまた足を止めた。
真修が、ついて来てくれないのだ。
「何してんの、行くよ」
「……っ」
「真修?」
思い返せば、私が束縛嫌いになってから不良になるまで、私と真修と善兄の3人がこうやって揃うのは、あんまりなかった。
でも、いくら真修が私と朔みたいに善兄を嫌っていないとはいえ、善兄と私を無理に引き合わせようとしたことは、一度たりともなかった。
真修なら、善兄になんとかうまく言って、善兄から距離を取るのを手伝ってくれるって、思ってた。
なのに、どうして。
「ねぇ、真修!」
どうして、こっちに来てくれないの?