BAD & BAD【Ⅱ】
何度呼びかけても、真修は動こうとはしなかった。
どうしてよ、真修。
これじゃあ、まるで。
「ごめんね、幸珀」
善兄が、真修の肩に手を置く。
ごめんねって、何が?
「真修くんは、こっち側なんだ」
想像してなかった。
こういう時、真修は私の味方になってくれるって確信してたけど、どうやら自惚れていたみたいだ。
真修と一瞬だけ目がかち合ったが、すぐに逸らされてしまった。
私は真修のことを知っているようで、何も知らないのかもしれない。
これから、ちゃんと知っていかなくちゃ。
私のために、真修のために。
心臓が、脳内が、ざわついている。
落ち着け。冷静になれ。
深呼吸をして、状況を整理しよう。
真修は善兄側で、私は1人。どうして善兄がここにいるかわからないけど…………あれ?もしかして、真修に誘導されてた?
いや、この際どっちだっていい。憶測は現段階では邪魔でしかない。考えないようにしよう。