BAD & BAD【Ⅱ】




黒龍のたまり場の前に停めてあるバイクに跨って、神雷のたまり場に急いだ。


黒龍のたまり場と神雷のたまり場は結構距離が近くて、いつもは歩きで移動しているのだが、今回は緊急事態だ。



エンジン音を盛大に鳴らしながら、バイクを走らせていった。





風を感じていたら、ふと先週の火曜日のことを思い出した。



屋上でサボってる幸珀が心配になって、屋上に行こうと階段を上っていたら、最悪なことに兄貴と出くわしてしまったんだ。



その時、兄貴は言った。



『幸珀は僕のものだよ。誰にも渡さない。幸珀の彼氏にも、お前にも』



あれは、宣戦布告、だったのだろうか。


俺が言い返す前に兄貴は去ってしまったけれど、俺だってそれなりに覚悟を持っているんだ。




兄貴なんかに、幸珀は渡さねぇ。






すぐに洋館に到着した。



バイクを下りて、乱暴に扉を開ける。


ホールにいた奴らが、一斉に俺に視線を向けた。



「おっ、朔じゃん!いらっしゃーい。ねぇねぇ、僕の前髪どう?キマってる~?」


「んなこと、今はどうだっていいんだよ!」



弘也の髪色や前髪が変わってるとか、気にしてる暇はねぇんだ。



< 539 / 730 >

この作品をシェア

pagetop