BAD & BAD【Ⅱ】
会って安心したいのに、いない。
2人がここにいなきゃ、俺の「用」は果たせない。
消え失せてくれない焦燥に錯乱して、くしゃ、と前髪をかきあげた。
「朔」
すると、凛が俺の名前を呼んだ。
今の深刻な状況を一切知らないはずなのに、なぜかひどく動揺しているようだった。
「何か、あったのか?」
……そうだ。2人が戻ってきてなかったら、神雷に助けを求めるんだった。
状況が全く良い方向に変わらなくて、パニクっちまってた。
神雷に事情を教えなければ。
浅い呼吸の中、口を開いた。
「あいつらの行方が、わからないんだ」
真修は自らついていったのに対し、幸珀は強引に連れ去られた。
真修が幸珀を助けるために、兄貴に同行したんならいいんだが……。
なぜだろう。
そうじゃない、気がしてる。