BAD & BAD【Ⅱ】
――そういえば。
あの事件の時も、まさかと思いつつ南側を探してみたら、幸珀を見つけたんだっけか。
幸珀の様子がいつもと違っていて、戸惑った記憶がある。
『っ、朔……!』
『……こ、はく?』
心に過る、幸珀の弱々しい姿。
幸珀の手首に残った鎖の痕を、俺は今でも鮮明に憶えている。
あの事件からもう3年も経ってんのに、なんで今になってこんなことが起きてんだよ。
「くそがっ……!」
苛立ちを胸の内で燃やしながら、エンジンを震わせた。
俺達を嗤う夜空の下、バイクで駆け出す。
なんとしてでも、助け出してみせる。
また幸珀が辛い思いを味わって、傷ついてしまう前に。