BAD & BAD【Ⅱ】
覚醒パピー
結局、朔から言葉の続きを聞くことができないまま、家に到着してしまった。
「無事に送り届けたからな」
「ご苦労様。……で、さっきの続きは?」
「じゃあな」
「ちょっとー!!」
最後の最後まではぐらかした朔は、颯爽と私の家から遠ざかっていった。
逃げ足の速い奴め。
すごく気になりすぎて、胸のあたりがモヤモヤするんですけど。
朔は何を言おうとしたんだろう。
凛よりも先、とかなんとか言ってたよね?
あの俺様な朔のことだから、モテ王の座は譲らないぜ☆、みたいな感じだったのかも。
うわ、想像したらものすごくくだらない。興醒めだ。
モヤモヤがスッキリしたところで、玄関の扉を開けた。
ただいま、と気だるげに言いながら、靴を脱ぐ。
自分の部屋に行き、カバンを床に投げ捨て、グッと伸びをした。