BAD & BAD【Ⅱ】
善兄は高校3年生になって、さらに大人っぽく、優しく、かっこよくなった。
だけど、今日の善兄はいつもとは違っていて。
なんだか、ひどく悲しげだった。
『久し振り。元気だった?』
『う、うん、この通り超元気!』
善兄、無理して笑わないでよ。
こっちまで、苦しくなる。
善兄を知る人達が、よく口を揃えて言っていた。考えていることがわからない、感情が読めない、表情が冷たい、イケメンだけどクールすぎて近づきにくい、と。
私は、そんなことないと、声を大にして反論したい。
確かに他の人より、表情はコロコロ変わらないし、感情表現は乏しいけど。
善兄が今何か悩んでいることも、心配かけたくなくて笑ってくれたことも、私にはわかる。
善兄のことをよく見ていれば、手に取るようにわかるんだ。
『隣、いい?』
『……うん、いいよ』
善兄の隣に、座る。
2つのブランコが、少し揺れた。