BAD & BAD【Ⅱ】
嬉しくなって微笑むと、善兄は目を細めた。
あ、今度は無理してない。
『幸珀が隣にいてくれてよかったよ』
暗い気分の時って、誰かに甘えたくなるんだよね。
私も“あの日”までは、そうだった。
今は強くなっちゃったから、必要ないけど。
『善兄の役に立てて嬉しいな』
えへへと照れながら、地面に足をつけつつブランコを揺らした。
『ねぇ、幸珀』
『なに?』
『僕の話、聞いてくれない?』
もしかしたら、善兄は秘密にするのではなく、誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
誰かと、この気持ちを分かち合いたかったのかもしれない。
そうだとしたら……私なんかでよければ喜んで、相談相手になってあげるよ。
『うん、聞かせて?』
大きく頷けば、善兄は私から桜へ、目を仰いだ。