BAD & BAD【Ⅱ】
手のひらにこもっていた熱が、冷めていく。
孤独?善兄が?
『僕だけ、家族からはみ出した存在のような気がして』
……何、言ってんの。
善兄から手を放すと、風が強く吹き荒れた。
地面が桜の花びらでいっぱいになる。
衝動的に立ち上がって、善兄の前に立った。
『幸珀……?』
『善兄のバカ!』
善兄の両頬を、これでもかってくらい強く押しつぶした。
突然のことに、善兄は唖然とする。
どうして私が怒ってるのかわかる?
それはね、善兄がなーんにもわかってないからだよ!
『義理の関係のどこが劣っているの?』
孤独?はみ出した存在?……笑わせないで。
善兄は何年“家族”をやってるの。
養子とか、そんなの関係ない。
『血の繋がりだけが大事じゃないよ』
『……わかってる。頭では、わかってるんだ』
私の両手を引き剥がしながら、苦しそうに呟いた。