BAD & BAD【Ⅱ】
『もちろん、私も心配するよ』
『幸珀も?』
『あったりまえじゃん』
『当たり前、なの?』
『そうだよ!せっかく秘密の共有者になって、前よりもっと仲良くなったのに、善兄がいなくなっちゃったら意味ないじゃん』
あと真修も、うちの親も、真修の親も……って、数えだしたらキリがないね。
善兄。
これでわかった?
家の中にも外にも、孤独はないって。
ていうか、むしろ善兄の周りにはひだまりしかない。
だから、いなくならないで、ずっと近くにいてね。
『ほら』
微笑みながら、大きく腕を広げる。
『独りじゃないでしょ?』
『……っ、本当だね』
善兄の、黒をほんのり薄めた瞳が、潤んでいく。
不意に1枚の花びらが舞ってきて、善兄の手の上に乗っかった。