BAD & BAD【Ⅱ】
心の中から、孤独感は失くなったかな。
善兄が家族の愛を素直に受け取れて、素直に返せたらいいな。
そう、思っていたら。
――ぐらり、と視界が激しく揺れた。
え?
『っ、な、に……?』
あまりにも唐突で、思考回路を停止せざるを得なかった。
首の後ろが、ジンジン痛む。
脳が、グワングワン振動してる。
なんで?
何がどうなっているの?
現状がこれっぽっちもわからないまま、意思とは裏腹に意識が遠のいていく。
『ごめんね』
善兄にもたれかかるように気絶した私に、ポツリとこぼされた善兄の低い声。
肌の表面に、善兄の温度が残っていた。