BAD & BAD【Ⅱ】







手首が締め付けられている感覚で、だんだんと意識を取り戻した。


どれくらいの時間が経過しただろう。




『ん……』



グッと伸びをしようとしたけど、なぜか腕が思うように動かせない。


おかしいな。



かすかに瞼を上げると、前方から声が聞こえてきた。



『幸珀、起きた?』


『……ぜん、にい?』



目の前には善兄がいて、指先で私の髪をいじっている。


あれ?善兄、いつもよりニコニコしてない?何かいいことでもあったの?



まだぼうっとする。


私、何してたんだっけ。

えーっと、公園でブランコに乗りながら善兄の話を聞いて、実は善兄は養子で、私が善兄を抱きしめて、それで……。



『あっ!!』



そうだ!私、突然気絶したんだ!



ようやく眠気が冴えて、思考が通常運転に戻ってきた。


なんで気絶なんてしちゃったんだろう。



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