BAD & BAD【Ⅱ】
そりゃ、逃げるの一択でしょうよ。
『えっ、善兄は逃げる気なし?』
『うん』
『なぜ!?』
さっき言ったじゃん。
善兄がいなきゃ、皆が心配するって。今頃、皆心配してるよ?
お母さんとお父さんも昔から過保護だから、オロオロしてるだろうな。
早く帰って、美味しい夕飯が食べたい。
『もしかして、まだあの秘密を引きずってんの?』
『ううん。幸珀が、家族がどういう存在なのか教えてくれたおかげで、孤独感は綺麗さっぱり感じなくなったよ。ありがとう』
『ど、どういたしまして』
なんだ、ちゃんと解決できてたんだ。
じゃあ、どうして逃げる気がないの?
あ、逃げ出した手前、戻りにくいとか?それならあり得るかも。善兄も可愛いとこあるな。
『善兄、そう恥ずがしがるなって』
『恥ずかしがってなんかないよ?』
『ごまかさなくても大丈夫。私には全部わかってるから』