BAD & BAD【Ⅱ】





『は、ははは、善兄も冗談言うんだね』



笑って流そうとしたが、ちっとも離れようとしてくれない。



じょ、冗談でしょ?

お願い、冗談だと言って。



『冗談じゃないよ』


『嘘だ!』


『ふふ、嘘じゃないって』



今、猛烈に危機感を感じた。


動悸が速くなる。




『帰らせるわけないじゃないか』



善兄、どうしちゃったの?


確実に私が気絶する前と、善兄の様子が違う。



善兄の長い指が手首の鎖にちょん、と触れた。



『せっかく幸珀が逃げないように、コレで縛り付けたのに』



耳を、疑った。



何を言ってるの?


それじゃあ、まるで。




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