BAD & BAD【Ⅱ】
殺気立ちながら睨みつけても、善兄は微笑みを崩さなかった。
善兄の表情筋どうしちゃったの。ゆるゆるじゃん。
クールの欠片もないよ。
『てか、そろそろ離れてくんない?近すぎ。ウザい』
『いきなり口が悪くなったね』
『誰のせいだと思ってんの?』
『僕?』
『他にいないでしょうが』
お前のせいだっつってんのに、なんで嬉しそうにしてんだよ!
しかも、離れてくれないし。もうなんなの。言葉通じないの?バカなの?
……ダメだ。完全に善兄が壊れた。
私の知ってる善兄は、ここにはいない。
『うーん、どうしたら伝わるかな』
『早く』
こちとら、両親が過保護で門限に厳しいんだ。
もし両親に怒られたら、嫌がらせしてやるんだからな!
『どうやら、あの秘密と幸珀の言葉がきっかけで、僕は家族という存在に強く憧れちゃったみたいなんだ』
『ふーん』
んなことどうだっていいわ。