BAD & BAD【Ⅱ】
愛を尽くしてるぅ?
今までのどこに愛を……。
ふと頭を過ぎった、ひとつの憶測。
……えっ、ま、まさか。
『善兄が私を閉じ込めてるのって、私が好きだから?』
『やっとわかってくれて嬉しいよ』
『本当にそうなの!?』
『うん』
さりげなく抱きしめてきた善兄を、蹴りつけようとしたら華麗にかわされた。ちくしょう。
そんなことで監禁してたなんて。
だから熱く恋やら愛やら語ってたのか。
だったら最初からはっきりそう言えよ!言い方が紛らわしいんだよ!
善兄をヤンデレと判明した時点で気づくべきだった。
今日ほど自分のアホさを呪ったことはない。
『南方面にこんなうってつけの場所があってよかった』
瞬間、善兄の雰囲気が変わった気がした。
野獣のように激しくて、蝶のように妖艶で、それでいてゾッとするくらい禍々しい雰囲気。
『幸珀が理由をわかってくれたし、これで思う存分、幸珀を独り占めできる』
善兄が、私の髪の先を指に絡めて、弄んだ。
不快感に塗れて、背筋が凍る。