BAD & BAD【Ⅱ】




善兄の執着的な愛が、暴走している。



なんでこうなっちゃったんだろう。

どこで狂っちゃったのかな。



閉じ込められている理由がわかった途端、震えが止まらなくなった。


それは、疑問が消えても安心できるどころか追い込まれてしまったからなのか、はたまた善兄の本性を暴いてしまったからなのか……。




こんなの愛じゃないと否定することも、家族への憧れが大きすぎると怒鳴ることもできなかった。



だって、そうでしょう?


私に否定したり、怒鳴ったりできる権利はない。



善兄にとっては、これが愛なのかもしれない。


憧れが大きすぎるのはいけないことではない。




でも。



『ねぇ、幸珀は僕と2人きりになれて嬉しい?』


『嬉しくない』



無理矢理縛り付けられて愛を囁かれたって、嬉しいと感じて受け止められるほど私は優しくない。



目の前にいるのは善兄なのに別人のようで、恐怖が募っていった。


誰かをこんなに怖がるのは久し振りで、より鮮烈に恐怖心に支配されていく。




『僕は嬉しいよ』


善兄の口元が、ニタリと緩められた。




誰か、震えを止める術を教えて。




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