BAD & BAD【Ⅱ】
心の奥で嫌悪感が蠢いていて、頭の痛みに拍車がかかった。
じわ、と目尻に涙が溢れる。
『涙が出るほど幸せなの?』
怯えながら、固い動作で首を横に振る。
そんなわけないでしょ。
ポジティブ思考、今すぐ停止させろ。
ここに、私の求める幸せはない。
『幸珀は可愛いな』
今のどこにそう思うポイントがあった?
善兄のツボは理解不能だ。
『こんなに可愛い幸珀が、僕じゃない誰かと恋人になるのは耐えられない』
頬を触る善兄の手は、ひどく優しい。
それが逆に怖くて、私の呼吸を浅くした。
『早く、僕を好きになって?』
……そうか、私、間違ってた。
善兄のこと、好きだったんじゃない。
大嫌いなんだ。