BAD & BAD【Ⅱ】
善兄から、この監獄から、一刻も早く逃げたい。
とりあえず、手首を拘束してるこの鎖を外さないと。
鎖があったら、速く走れない。
『幸珀の真似をしてるんだよ?』
『真似?』
『公園でギュッとしてくれたじゃないか』
『あれは、善兄が落ち込んでたからやってあげただけ!』
あの時はあの時、今は今。
なんでもかんでも真似すればいいってもんじゃない。
『真似しないで』
『でも、僕は抱きしめられて嬉しかったよ。幸珀は嬉しくない?』
『嬉しくない!』
きっぱり断言して、会話を強制終了させた。
のんきに話なんかしてられるか!私は鎖を外すので忙しいんだよ!
……この鎖、どこにあったんだろう。
そういえば、ここは廃校なんだっけ。
ならばこれは、立ち入り禁止を示すために、入口付近に用いられていた鎖だった可能性が高い。