BAD & BAD【Ⅱ】




南方面にある学校って、お母さん世代が学生だった頃には既に廃校になってたんじゃなかった?


もし、廃校にしたまま長年放置されてきたのだとしたら、この鎖は相当古いはず。



思っていた通り、鎖は随分と錆び付いていた。



一度試した時はいろんな方法で解こうとして、あまり時間をかけなかった。


けど、鎖の状態を把握した今なら、ぶっ壊せるかもしれない。



私はめいいっぱい力を費やして、両手首を思い切り横に引っ張り、鎖をちぎろうとした。



『ふんぎぃぃ~~っ!』


『鎖を壊そうとしてるの?いくらなんでも、幸珀には無理だよ』



余裕そうに微笑む善兄に、立ち上がって対抗する。




『無理かどうかなんて、やってみなくちゃわからないでしょう、がっ!』


――ガシャンッ!




私の踏ん張りの成果か、手首に巻かれていた鎖を見事破壊できた。



手首が解放され、少し楽になる。

鎖が壊れやすくなっててラッキーだったよ。



『善兄は私の力を甘く見すぎてたね』



善兄にタイマンで圧勝できる日も近いかもね。


こんなんだから朔に怪力女ってバカにされるんだろうけど、今は神様に私を怪力にしてくれてありがとうとお礼を言いたい気分だ。



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