BAD & BAD【Ⅱ】
足がもう限界で立っていられなくなって、朔を抱きしめたままズルズルと地面にへたりこんだ。
朔のお腹に顔をうずめて、泣きじゃくる。
『おい、ちょ、幸珀!』
『ひっく、……っ、ぜ、ぜん、にいに……』
『……え?』
『善兄、……に……っ』
枯れ果てた声しか、出せない。
それでも、朔は真剣に耳を傾けてくれた。
『ふ、っ……く、鎖で縛られて、閉じ込められて……』
『兄貴に、監禁されてたのか?』
『……うぅ、』
こくん、と弱々しく頷く。
顔を見なくても、朔が殺気立っているのは感じ取れた。
『それで、なんとか自力で、逃げてきた……けど……っ』
『もういい』
『うっ、……ひっく、っ……』
『わかったから、もう、何も言うな』
そう言って、私の話したことを信じて、私の背中に手を添えてくれた。