BAD & BAD【Ⅱ】
高級フレンチと神雷なら、天秤にかけずとも答えは1秒で決まる。
パトロールならサボっても大丈夫だろうし。
「私も行きたーい」
「もうダメよ。2人で予約しちゃったもの」
「最初から2人のつもりだったんかい!!」
デートする気満々かよ。
たまには家族サービスしろよ。
私も仲間に入れてくれ。
「今度高級ディナー行くことになったら、か・な・ら・ず、私も連れてってね!2人じゃなくて3人で予約してね!絶対だよ!?」
「はいはい」
「約束だからね!?」
「わかったから。行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
娘をぞんざいに追い出したお母さんのせいで、不機嫌になりながら家を出た。
女子力だけじゃなく、高級フレンチまでも手からすり抜けちゃった……。
私は肩を落としつつ、とぼとぼ……と神雷のたまり場を目指して進んでいった。