BAD & BAD【Ⅱ】
多分、お母さんとお父さんが、私の帰りが遅いことを案じて、朔の家に連絡したんだろう。
今日はその過保護さに助かっちゃった。
『もう大丈夫なのか?』
『うん、落ち着いた』
まさか自分が監禁されるとは思ってもみなかったなぁ。
しかも、善兄に。
本当にびっくりしたよ。
善兄を想起した途端、頭に鈍い痛みが走った。
いったいなぁ。どうしてこんなに痛むんだろう。束縛されたストレスか?まじしんどい。これはもう神様が「あいつのことなんか思い出したって意味ねぇよ、忘れろ忘れろ」と助言してくれているのでは?
『家に帰ったら、俺がお前の代わりに兄貴をシメといてやるから安心しろ』
善兄に怒りの矛先を向ける朔に、果たして善兄を制止できることはできるのだろうか。
できない、だろうな。
恐ろしい。
どうやっても、自由を奪われそうで。
『安心、できないよ……』
『幸珀?』
『あー、いたいた。やっと見つけたよ』