BAD & BAD【Ⅱ】




力の入らない手を、朔の手が不器用に握った。


今日は朔に助けられっぱなしだね。



ねぇ、朔。

隣にいてくれて、ありがとう。




ひと呼吸置いて、私の代わりに朔が口を開いた。



『幸珀は手を縛られて、監禁されていたんです』


『え……!?』


『俺が見つけた時には既に、幸珀は逃げ出した後でした』



お母さんは信じられないと言いたげに、口を手で覆った。



『幸珀、朔くんの言ってることは本当なの?』


『うん』



喉の奥からこぼれたのは、たった2文字だけだったが、真実を物語るには十分だった。




『誰に、監禁されたの?』


『犯人は……』



教えないで。

と、告げるように朔の手を握り返せば、金色の瞳が「なんでだよ」と問い質していた。



それでも私は、きつく握って、拒むだけ。



< 599 / 730 >

この作品をシェア

pagetop