BAD & BAD【Ⅱ】
力の入らない手を、朔の手が不器用に握った。
今日は朔に助けられっぱなしだね。
ねぇ、朔。
隣にいてくれて、ありがとう。
ひと呼吸置いて、私の代わりに朔が口を開いた。
『幸珀は手を縛られて、監禁されていたんです』
『え……!?』
『俺が見つけた時には既に、幸珀は逃げ出した後でした』
お母さんは信じられないと言いたげに、口を手で覆った。
『幸珀、朔くんの言ってることは本当なの?』
『うん』
喉の奥からこぼれたのは、たった2文字だけだったが、真実を物語るには十分だった。
『誰に、監禁されたの?』
『犯人は……』
教えないで。
と、告げるように朔の手を握り返せば、金色の瞳が「なんでだよ」と問い質していた。
それでも私は、きつく握って、拒むだけ。