BAD & BAD【Ⅱ】
それすらも宝物にしてしまう善兄は、心が広いのか狭いのかわからない。
いや、善兄を理解しようとは思わないんだけれども。
理解できたらこんなに迷惑しないし、意味不明レベルはもはや宇宙人だし。
そもそも、どうでもいいし。
「幸珀に拒まれる度、思うんだ。愛情表現が足りてないのかなって」
足りてないどころか、注ぎすぎ。
ていうか、表現の仕方が狂ってるの!
「だから、最近はたくさん伝えていたでしょ?」
……あー、そうだね。
教育実習期間中、隙あらば伝えてたね。
ただでさえ変態ヤンデレ抱きつき魔なのに、執着と粘着が桁違いにグレードアップしてて、すっごくウザくてキモくて鬱陶しかった。
「今日も、幸珀の心が揺らぐくらい、伝えてあげる」
「やめて」
「照れてるの?可愛いね」
「ほんとに照れてたら、もっと乙女な反応するわボケ」
暴言を軽く無視して、善兄が私を抱きしめた。
ぐっ、は、離せ!放せっ!!
「幸珀」
耳元で甘美に囁かれ、ゾワッと背筋が震えた。
「愛してるよ」