BAD & BAD【Ⅱ】
善兄は私から離れ、スマホの画面に表示された名前にため息をついた。
「しょうがないな」
電話に出る気になったのか、面倒くさそうに瞼を伏せる。
「ごめんね、ちょっと出てくるよ。寂しいだろうけど、待っててね」
寂しい?そんなの感じるわけないじゃん。
逆に、善兄がいなくなってハッピーだよ。
「そのまま二度と戻ってくんな」
「すぐに戻ってくるよ」
私が好きなら、私の命令を聞いてくれたってよくない?
善兄は私の頭を数回撫でて、スマホ片手にステージを下りた。
「真修くん」
「はい」
「僕がいない間、幸珀の警護よろしくね」
「……わかりました」
そう頼むと、善兄は体育館を出て行った。