BAD & BAD【Ⅱ】





私と真修の2人だけになった体育館に、どこからか隙間風が吹いて、少し肌寒い。




警護を任された真修は、こちらに近寄ってきた。


警護というより、監視されている気分だ。



真修がステージに上がって、私の目の前までやって来た。



「本当に、善兄に味方してるんだね」



決して責めてるわけじゃないのに、元々表情を曇らせていた真修を不本意に傷つけてしまった。




まだ、混乱してる。



どうして真修が善兄側についているのか、見当もつかないから。


真修は私の味方になるか、どっちの味方にもならずに中立の立場でいるかのどちらかだと、勝手に思っていた。



真修のことを、何もかも知った気になってたんだ。勘違いも甚だしい。





「裏切って、ごめん」



裏切り。

その言葉が、まさか真修の口から放たれるとは、想像もしてなかった。



……考えないように、してたのに。




剛みたく仲間を守るためだとか、自己犠牲でやったとか、そんなんじゃないのは、今の真修を見ればわかる。


わかって、しまう。



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