BAD & BAD【Ⅱ】




そう考えたら、涙がポロポロ流れた。


頬を伝っていく涙に、真修が乾いた笑みを吐く。




「なんで、幸珀が泣くのさ」


「泣いてない!これは涙じゃなくて汗!」


「わかりやすい嘘つかないでよ」


「うっさい」




泣きたくないのに、涙腺は一度緩むと当分緩みっぱなしのようで、涙が止まってくれない。


腕を縛られているせいで、涙を拭えもしない。みっともないったらありゃしない。




「今まで、真修にはたくさん優しくされてきた」


「俺、そんな……」


「はいそこ、謙遜しない」



そろそろ、自分が無自覚ジェントルマンなこと、自覚してよね。


真修は神雷1紳士な男だよ。紳士すぎるが故に、弱くて繊細だけどね。




「それなのに、たったひとつやふたつの過ちを許せないわけないでしょう?」




もし、謝ってきたのがいい加減な知り合いだったら、ここまで寛大な対応はしない。許すも許さないも言わずに、無関心を貫いていた。



でも、真修はいい加減でも、知り合い程度の繋がりでもない。


大事な大事な、幼なじみであり仲間。



許すに決まってる。




< 636 / 730 >

この作品をシェア

pagetop