BAD & BAD【Ⅱ】
そう考えたら、涙がポロポロ流れた。
頬を伝っていく涙に、真修が乾いた笑みを吐く。
「なんで、幸珀が泣くのさ」
「泣いてない!これは涙じゃなくて汗!」
「わかりやすい嘘つかないでよ」
「うっさい」
泣きたくないのに、涙腺は一度緩むと当分緩みっぱなしのようで、涙が止まってくれない。
腕を縛られているせいで、涙を拭えもしない。みっともないったらありゃしない。
「今まで、真修にはたくさん優しくされてきた」
「俺、そんな……」
「はいそこ、謙遜しない」
そろそろ、自分が無自覚ジェントルマンなこと、自覚してよね。
真修は神雷1紳士な男だよ。紳士すぎるが故に、弱くて繊細だけどね。
「それなのに、たったひとつやふたつの過ちを許せないわけないでしょう?」
もし、謝ってきたのがいい加減な知り合いだったら、ここまで寛大な対応はしない。許すも許さないも言わずに、無関心を貫いていた。
でも、真修はいい加減でも、知り合い程度の繋がりでもない。
大事な大事な、幼なじみであり仲間。
許すに決まってる。