BAD & BAD【Ⅱ】
真修が私にくれた天然な優しさは、失態を上書きして帳消しにできるくらい、大きくて温かい。
私はその優しさを、返していきたい。
「真修、もう謝らないで?」
涙ぐみながら、柔らかく微笑む。
真修の「ごめん」は、十分もらった。
私は真修を許したよ。
今度は自分を許してあげて。
「これから見捨てなければ、それでいいんだよ」
「……っ、こ、はく」
「逃げずに、立ち向かって?」
お願い、真修。
“あの日”から、時間を進めて。
「後悔は、今日で終わりにしよ?」
真修は目元を腕で隠して、肩を震わせた。
床に、ポタポタと涙が落ちる。
その涙は、言わずもがな真修のだ。
私は、真修の重荷を少しは取り除いてあげられたのかな。