BAD & BAD【Ⅱ】
ずる賢いな。
イライラしてくるよ。
「ここがこうなって、ああなって……」
独り言を呟きながら、拘束を失くそうと奮闘してくれている。
鎖は真修に任せるしかないな。
束縛の抑圧感が、焦りを芽生えさせる。
はっ、はっ、と短い息を吐き出す。
善兄がいてもいなくても、やっぱり束縛は嫌だ。
私に、自由を返せ。
「……幸珀、大丈夫?」
眉尻を下げてる真修に、笑顔を向ける。
心配しないで。
嫌いなものに囲まれて、本当は悲鳴を上げたい。
だけど、こんなことで、私は負けない。
「ダイジョーブ」
「でも、手ぇ震えてるよ?」