BAD & BAD【Ⅱ】
拳を作っていても、震えてしまう。
不快と嫌悪が、震えを止めてはくれない。
肌はとうに、冷たくなっていた。
「大丈夫だってば。気にしないで」
「本当に?」
「本当に!真修は鎖を解くことに専念してればいいの」
「わ、わかった」
真修は不服そうにしながらも、再び手を動かし始めた。
多分、真修は気づいてる。
私の「大丈夫」が、ただの強がりだって。
わざと、騙されてくれたんだよね?
また、真修に優しくされちゃった。ありがとう。ごめんね。
さらにきつく、拳を握り締めた。
怖くて仕方なくても、大丈夫だと言い張れるよ。
だって、私には真修が付いてるから。
独りじゃないだけで、不思議と平常心でいられている。