BAD & BAD【Ⅱ】
けれど――。
「幸珀、もうすぐ鎖がほど……」
「何してるの?」
真修の声とかぶせて、善兄が扉の隙間から声を響かせた。
扉が開く音が、体育館に反響している。
「真修くんは、僕側じゃなかったっけ?」
無愛想で冷酷な表情に、真修はビクッと怖気づく。それでも、勇気を振り絞って、意志を示した。
「すいません、善さん。俺、逃げるのはやめます」
善兄の酷薄さは、揺らがない。
ただただ凍てついた眼差しで、真修を突き刺している。
「やっぱり、幸珀の味方でいたいんです」
「ふーん、そっか」
善兄にしては、やけにあっさりして……。