BAD & BAD【Ⅱ】
私と真修が油断を漏らした刹那、善兄の雰囲気が急激にどす黒くなった。
酸素がないんじゃないかってくらい、呼吸がままならなくなる。
「まあ、元々真修くんは、不測の事態に備えてこっちに引き入れたってだけで、いなくなっても問題はないんだけど」
……けど?
ゆっくりと、善兄がステージに近づいてくる。
「排除するべき対象が増えたのは面倒だな」
「増えたって、誰かがここに向かってるの?」
引っかかりを覚えて問いかければ、禍々しく微笑まれた。
「そうだよ。朔から電話があってね、どうやらさっき殺った雑魚が朔の下っ端だったらしくて、僕が幸珀を監禁してることがバレちゃったんだよ」
電話の相手は、朔だったんだ。
3年前と同じように、朔が私を探してくれている。
涙を誘われたが、グッとこらえた。
「まだ全然幸珀とイチャつけてないのに、困ったな」
私は1回も善兄とイチャついたことありませんけど!?