BAD & BAD【Ⅱ】
「やめて、真修!」
私の声を無視して、真修は鎖だけに集中する。
お願い、聞いて。
善兄の視界から、姿を隠して。
「あとちょっとで鎖を取れるから、我慢してね」
今はそれどころじゃないでしょ?
鎖を解いてほしいと頼んだのは私だけど、自分の安全をちゃんと考えてよ。
自分を犠牲にしないで。
……真修がダメだなら、善兄を止めるしかない。
「善兄!真修に危害を加えないで!」
「ごめんね。幸珀の頼みでも、それは聞いてあげられないよ」
「どうしてよっ!!私が善兄の言うことを聞かないから!?」
「違うよ」
じゃあ、どうしてよ。
どうして、2人とも聞いてくれないの。
私の要求を、受け入れてほしいのに。
「だって真修くんは、僕の大切なものを奪おうとしてるんだよ?阻止するために実力行使に出るのは、当然でしょ?」