BAD & BAD【Ⅱ】
……あ、鎖が少し緩んだ。
完全に拘束が解かれようとした直後。
「0」
カウントダウン終了に、真修は無意識に手を止めた。
善兄の尖った眼光が、真修を射抜く。
「せっかくチャンスをあげたのに、もったいないことをしたね」
「っ!」
「残念だよ、真修くん」
恐れおののいている様子に、善兄は上唇を舐めて余裕ぶる。
善兄が階段を使わずに軽い身のこなしでステージに上がってきても、真修は立ち去らずに身構えた。
闘う気満々とはとても言い難い、消極的で弱腰な構え。
一目見れば、2人の力量差は明らかだ。
せめて私が縛り付けられていなければ……。
なんて、悶々と考えたって、後の祭り。
「真修くんじゃ、僕には敵わないよ」