BAD & BAD【Ⅱ】
真修、今日はよく泣くね。
希望を捨てないで、安静にしててよ。
ほら、ねぇ、見て。
「幸珀!真修!」
「大丈夫か!?」
「今、助けてやるからな!」
呼ばれて視線を移せば、ステージへ全速力で走っている師匠と凛と朔の姿が。
味方が、3人も増えたよ。
私達を助けに来てくれたよ。
あきらめるには、まだ早い。
皆で、ここから逃げ出そう。
「こは……っ!」
朔が私の名前を最後まで告げる前に、善兄のナイフがステージ上から朔の足元に正確に投げられる。
床に突き刺さったナイフに圧倒され、朔と、朔のあとに続いてステージ前にやって来た師匠と凛は、急ブレーキをかけて立ち止まった。
「それ以上近づいたら、容赦しないよ」
ステージから、3人を見下ろす。