BAD & BAD【Ⅱ】
そのナイフは、立ち入り禁止のライン。
こちらに来るな。
そんな殺気が刃に織り交ぜられていて、生半可な気持ちでは太刀打ちできない。
「そのナイフを一歩でも超えたら、君達を潰す」
善兄は、本気だ。
またさっきみたいに、遠慮なく殺しにかかる。
たとえ、兄弟であっても。
「ハッ」
朔が、嘲笑を吐き出した。
善兄の眉間にしわが寄る。
「上等じゃねぇか」
「俺らに牽制なんか効かねぇよ」
「ここで引くと思ったら大間違いだ!」
朔も凛も師匠も、善兄の殺気を払い除け、口を揃えて返事した。
戦闘を選んだって、1人1人が強くなるわけじゃない。
3人があくまで挑戦者側なのは、変わらない。
それをわかっていながら、3人はなんのためらいもなく挑戦権を手にした。
全ては、この禁断の砦を、崩すために。