BAD & BAD【Ⅱ】
涙は出ない。
出さない。
最後が泣き顔だなんて、格好つかないでしょ?
「じゃあね、皆!」
悲しい終わり方より、明るい方がいい。
満面の笑みで、さよならしようよ。
真修は何か言いたげに唇を動かしかけて、つぐむ。
意を決して、深く頭を下げた。
「今までありがとうございました!!」
真修のあとに続くように、剛も他の皆もお辞儀をする。
しばらくして、ゆっくり上がった顔に貼り付けてあったのは、不器用な笑顔で。
涙腺が緩みそうになった。
「こちらこそ、ありがとう」
何度伝えたかわからない思いを、代表して師匠が告げた。
私はそっとおもむろに、豪華に装飾された扉を開いていった。
青空に昇る太陽が、燦々と照らす。
私達の未来を。