BAD & BAD【Ⅱ】
「じゃあな」
残留組がわっと一斉にいろいろ言い出してほとんどがかき消されてしまった中、剛のかすれた呟きだけはすくい取れた。
しんみりしてるより、今みたいに賑やかな方が神雷らしい。
大きく手を振れば、皆も手を振り返してくれた。
さよなら、しても。
私達は、一生仲間。
“悪”の、仲間。
ただこの洋館は、たまり場は……神雷そのものは、私の居場所じゃなくなる。
もうここは、真修達の居場所だ。
でも、私の居場所だったことは、変わらない。
ここでの何もかもが、特別だった。
「ありがとう、神雷」
バタン、と閉まった扉の向こう側は、悪い子の巣窟。
私達の思い出を背負い、神雷を名乗り、最強を謳う彼らの目の前に広がるのは、きっと、次なる時代。
もう神雷の一員じゃないけれど。
それでも。
また行く道が交差し、出会ったら。
“悪”らしく、一緒に暴れて騒ごうか。
――そして、また、終わりと始まりを紡いでいく。
【Ⅱ】end