BAD & BAD【Ⅱ】
かつてのトラウマを思い出して、ひるんじゃった?
あんたは、過去は過去だと、割り切ったんじゃなかったの?
遊園地の観覧車で見た、あのかっこいい桃太郎はどこに消えちゃったの?
しゃきっとしなよ。
あんたの憧れは、その程度のものだった?
違うでしょう?
「またあの時みたいに、俺がお前をいじめて……おっと、間違えた、いじってやるよ」
逆ギレ男は、桃太郎の胸ぐらをがさつに掴んで、上から目線に嘲った。
揺らいでいる桃太郎を横目に、私はのんきにあくびをひとつ漏らす。
そんな私に、逆ギレ男と一緒にいた、もう1人の不良が声をかけてきた。
「そんな余裕ぶっこいてていいのか?あのチビがどうなっても知らねぇぞ?」
えらぶってる態度がむっかつくな。
あれ?
こいつ、どこかで……。
サングラス越しに、話しかけてきた不良をじぃーっと凝視してみる。
「な、なんだよ」
……あああっ!
こ、こいつ……あいつだ!Bくんだ!!
“あの日”、私を悪にしたきっかけを作りやがった、あのいじめっ子のBくんだ!!