BAD & BAD【Ⅱ】




私の方でも、桃太郎の方でも、予期せぬ再会が起こってしまった。



Bくんって、桃太郎をいじめてた奴の後輩だったんだね。


できれば、もう二度と会いたくなかった。



だけど、ラッキーなことに、あっちは私が円堂幸珀だって気づいてない。よっしゃ。


このまま他人のフリをしながら、“あの日”殴り足りなかった分を、あとで思いっきり痛めつけてやろう。



「おい、無視すんじゃねぇよ。あのチビを助けなくてもいいのか?」


「……」


「おいっ!!」



手持ち無沙汰で爪を気にし始めた私に、Bくんは苛立ちを覚える。



なに?もしかして、Bくんは桃太郎を心配してるの?それとも、私を焦らせたいの?


もしくは、ただのかまってちゃん?



真意がどれであろうと、あんたの相手をしてあげる気はさらさらない。



桃太郎を、助ける?私が?

冗談やめてよ。笑っちゃう。



私は、桃太郎を助けようとも、背中を押して戸惑いを取り除こうとも思わない。



< 84 / 730 >

この作品をシェア

pagetop