BAD & BAD【Ⅱ】
私の方でも、桃太郎の方でも、予期せぬ再会が起こってしまった。
Bくんって、桃太郎をいじめてた奴の後輩だったんだね。
できれば、もう二度と会いたくなかった。
だけど、ラッキーなことに、あっちは私が円堂幸珀だって気づいてない。よっしゃ。
このまま他人のフリをしながら、“あの日”殴り足りなかった分を、あとで思いっきり痛めつけてやろう。
「おい、無視すんじゃねぇよ。あのチビを助けなくてもいいのか?」
「……」
「おいっ!!」
手持ち無沙汰で爪を気にし始めた私に、Bくんは苛立ちを覚える。
なに?もしかして、Bくんは桃太郎を心配してるの?それとも、私を焦らせたいの?
もしくは、ただのかまってちゃん?
真意がどれであろうと、あんたの相手をしてあげる気はさらさらない。
桃太郎を、助ける?私が?
冗談やめてよ。笑っちゃう。
私は、桃太郎を助けようとも、背中を押して戸惑いを取り除こうとも思わない。