BAD & BAD【Ⅱ】
「手ぇ離せよ」
「も、桃太郎のくせに、調子乗ってんじゃねぇ……!」
桃太郎の殺気に呑まれている現状を、認めたくないと言わんばかりに、逆ギレ男の腕が振り上がる。
すぐさまその腕を食い止めた桃太郎は、空いている方の拳を、逆ギレ男のみぞおちに躊躇なくぶつけた。
おっ、クリティカルヒットじゃん。
「グハッ」
「今の俺は、昔の俺とは違ぇんだよ」
「くっそ……っ」
桃太郎から一旦距離を取った逆ギレ男は、みぞおちを抑えながら、悔しげに下唇を噛み締めた。
あきらめ悪いねぇ。力の差は一目瞭然なのに。
「またいじめようとすんなら、容赦しねぇぞ」
「随分と生意気になったじゃねぇか。……おいっ、お前はそっちの奴殺っとけ」
逆ギレ男に指示されたBくんが、私に襲いかかってきた。
それとほぼ同じタイミングで、逆ギレ男も桃太郎に再び挑みに行く。
しょうがないなあ。
またくだらないことをしちゃったBくんに、力づくでお説教してあげる。
退屈しのぎにはなるかな。