BAD & BAD【Ⅱ】




すると、唄子ちゃんが「幸珀先輩」と呼んだ。



か、可愛い!上目遣いしてる!天使かっ!!


この子が私の後輩とか、私恵まれてるな。




「唄子ちゃん、どうしたの?」


「幸珀先輩は、ひろちゃんが今どこにいるか知りませんか?」


「……え?」


「あたし、ひろちゃんともっといっぱいお話したくて追いかけたんですけど、ここで見失っちゃって……」




つ、つまり、唄子ちゃんは弘也を尾けて、ここまでやって来たの?


それで、弘也を探してたら、いつの間にか夜になってたわけ?



もしかして、唄子ちゃんって。

粘り強いストーカー体質だったりする?



なんだか、今、弘也に「苦労してるんだね」って言って、肩を揉んであげたい。




「弘也なら洋か……っ!?」


「うーん、私も弘也の居場所はさすがにわかんないな。ごめんね?」



先に居場所を教えてあげようとした、桃太郎のつま先を思いっきり踏みながら、唄子ちゃんに申し訳なさそうに言った。



「そうですか……」


「今日はもう遅いから帰った方がいいよ。さっきみたいな輩も多いし。なんなら家まで送ろうか?」


「いえ、大丈夫です。1人で帰れます」




< 92 / 730 >

この作品をシェア

pagetop