BAD & BAD【Ⅱ】
すると、唄子ちゃんが「幸珀先輩」と呼んだ。
か、可愛い!上目遣いしてる!天使かっ!!
この子が私の後輩とか、私恵まれてるな。
「唄子ちゃん、どうしたの?」
「幸珀先輩は、ひろちゃんが今どこにいるか知りませんか?」
「……え?」
「あたし、ひろちゃんともっといっぱいお話したくて追いかけたんですけど、ここで見失っちゃって……」
つ、つまり、唄子ちゃんは弘也を尾けて、ここまでやって来たの?
それで、弘也を探してたら、いつの間にか夜になってたわけ?
もしかして、唄子ちゃんって。
粘り強いストーカー体質だったりする?
なんだか、今、弘也に「苦労してるんだね」って言って、肩を揉んであげたい。
「弘也なら洋か……っ!?」
「うーん、私も弘也の居場所はさすがにわかんないな。ごめんね?」
先に居場所を教えてあげようとした、桃太郎のつま先を思いっきり踏みながら、唄子ちゃんに申し訳なさそうに言った。
「そうですか……」
「今日はもう遅いから帰った方がいいよ。さっきみたいな輩も多いし。なんなら家まで送ろうか?」
「いえ、大丈夫です。1人で帰れます」